システムエンジニアリング概要

ここでは、システムエンジニアリグの概要について説明しています。

システムズ・エンジニアリング標準

(1) システムズ・エンジニアリング標準の成り立ち
ここではシステムエンジニアリング標準について説明します。まずは、システムエンジニアリング標準がどのようにして出来上がってきたか、その成り立ちを説明します。
世の中では多数のシステムが開発されています。その中にはうまくいったものもあれば、失敗したものもあります。こういったものからうまくいったものを選び出します。これをベストプラクティスといいます。こういったベストプラクティスが複数集められると、それらを一般化することによって、標準をつくることができます。このような帰納的なアプローチによって、システムエンジニアリングの標準は作られました。では、この作られた標準を利用するにはどうすればよいのでしょうか?そのためにはそれぞれのケースにあうように具体化する必要があります。このような演繹的なアプローチをとることによって利用することができるのです。利用した結果から得られたベストプラクティスはもちろん次の標準に活かされることになるでしょう。このように、ベストプラクティスを蓄積し、フィードバックをかけながら、技術分野に依存しない一般的なものとしてシステムエンジニアリング標準は作られてきたのです。

(2) システムズ・エインジニアリング標準の歴史
次に、システムズエンジニアリング標準の歴史を説明します。
世界で最初に作られたシステムズエンジニアリング標準は米国の防衛の規格であるMILスタンダードとよばれるものです。1969年にMIL-STD-499としてはじめてシステムエンジニアリングの標準が作られました。そして、1974年に改訂版のMIL-STD-499Aが制定されました。ほとんどの日本企業はこれをベースにシステムエンジニアリング活動を行ってきました。そして、バブルを向かえ、日本が強い競争力をつけたと考えていたころ、米国では日本に負けないようにシステムエンジニアリングに関する研究を行ってきていました。この結果が現れたのが、1994年以降の数々のシステムエンジニアリング標準なのです。今ではここにあるように複数のシステムエンジニアリング標準が現れております。図にシステムズエンジニアリング標準の歴史を示します。

  • MIL-STD-499:
  • ISO/IEC 15288 : Systems Engineering - System Life Cycle Processes
  • ANSI/EIA 632 : Process for Engineering a System IEEE 1220: Application and Management of the Systems Engineering Process
ここでは、青色で識別した3つのシステムズエンジニアリング標準について、その関係を簡単に説明します。

SE標準の歴史

(3) システムズ・エンジニアリング標準の違い
ここにあるとおり、3つのシステムエンジニアリング標準は、2次元の領域の中でその位置づけを説明することができます。
ここでは、横軸は、システムのライフサイクルです。左から、概念検討から始まって、開発、利用への移行、利用、そして廃棄となります。縦軸は、詳細さと考えてください。
このとき、一番上にあるISO/IEC15288大変広いライフサイクル範囲をカバーしているのですが、その詳細度はあまり詳細でないことがわかります。
また、ANSI/EIA-632は、利用前までのライフサイクルしかカバーしてないが、ISO/IEC15288よりは詳細な記述となっていることがわかります。そして、IEEE1220は開発の部分しかカバーしていないかわりに、その部分に関しては大変詳細に記述されていることがわかります。このように、それぞれが違う位置づけで制定されているのです。 また、右下の方には現状標準が存在しておりませんが、利用のフェーズを中心としたより詳細な標準をつくるための活動がされております。

SE標準の関係

また、米国の標準であるIEEE1220は、国際標準であるISO/IEC15288とハーモナイズするために改訂を進めております。現在、用語等の統一を行うStep1の活動が終了し、IEEE1220のUpdate版のレビューがINCOSEを中心に実施されました。
同様に、ISO/IEC15288自身をIEEE15288として制定する動きもあります。

copyright©最新システムエンジニアリング情報館 All Rights Reserverd.